2025年3月24日 農林水産省において、甘味の需給に関する情報交換会が行われました。全国砂糖特約店協同組合連合会として出席し、以下の趣旨の発言を致しましたのでご報告申し上げます。
全国砂糖特約店協同組合連合会を代表いたしまして砂糖卸商の現状についてご報告申し上げます。
まず、近年砂糖卸商の事業遂行のために必要な物価は上昇し続けています。 国民生活の物価上昇も勿論ですが、中でも特約店の事業運営上、最も密接に関係する輸送費の中のガソリン代は2020年度比で148%上昇しました。 協力していただいている運送業者も燃料費、人件費の上昇を理由に運賃の値上げを行っています・
そして我々の主な取扱商品である精糖市中価格は2020年に187円だったものがこの5年間の間に250円となっています。実に133%の上昇です。
さて、問題は特約店が精糖の販売価格をしっかり63円上げられたのかどうかであります。 果たして全てのお客様に満額63円値上げできているのか。 ドラッグストア、量販店の中には最後の値上げが実行されていないケースもあると聞いています。
加えて、燃料費、水道光熱費など事業に必要な費用の上昇分までお客様にご負担いただけたのか。 恐らくほとんどといってよいほど精糖価格以外の費用の価格転嫁は出来ていないと思われます。 こうした費用を価格転嫁できないとどうなるか。 費用負担がボディブローのように効いてきて将来的に事業遂行が厳しくなるでしょう。
確かに砂糖単価が上がった結果、見かけ上の事業の売上高は伸びています。只、単価が133%上がったという事は使用資金も133%上がったという事です。精糖販売価格を一定率で値上げ出来れば粗利益は拡大しますが、砂糖卸商の大多数はkg当たりの価格上昇分しかお客様にご負担していただいてないはずです。定額利益しか得ていないとすると使用資金の増大分の金利をどのようにまかなうのでしょうか。
糖商連としては精糖価格の落ち着いている今、本当に価格上昇分をお客様にご負担していただけたのか、お客様に待ってくれ、待ってくれと言われているうちに値上げ忘れがないかどうか再度確認してみましょう。と呼びかけています。
併せて、物流経費の上昇、水道光熱費等の上昇部分も吸収しなければなりません。自社の配送の「ムダ」「ムリ」「ムラ」を取り除くことでコストを抑え、結果的に収益を高める必要があります。
一般的に配送の効率化は「実働率」「実車率」「積載率」の3つの指標を向上させることと言われています。 例えば週5日の配送を4日にまとめて頂いたり、1日早めにオーダーを頂くことで実働率は高めることができます。 又、1回のご注文の量を1割増やして頂いたり、通常より1品多くご注文頂くことで積載率は高めることができます。 近隣、又は遠方の同業者と共同配送の仕組みを作り上げることで実車率を向上させることもできるでしょう。
特に同業者同士の共同配送はドライバー不足による物流問題の回避とお客様に最短で商品をお届けできるというメリットを生む可能性があります。 自社のトラックが振り向けられない場合でも共配相手にお願いすることでお客様にご迷惑をかけずに済みます。 少量貨物の「ついで配送」でお互いに積載率を高めることも可能です。 又、SDGsの観点から見ればCO2削減にもつながります。
糖商連としては砂糖卸商はこうした努力をしていかなければ、明日の精糖の流通を担えなくなると警鐘を鳴らしています
同時に組合員には 農林水産省の「フェアプライス プロジェクト」の特設ページをご紹介しています。
「フェアで良い値を考える」というキャッチコピーで適正な取引を奨励するプロジェクトです。 内容はホームページをご覧いただければわかりますが、
「作り手」「売り手」「買い手」三者が全て幸せになるために
誰かが汗をかいて育て
誰かが汗をかいて運び
誰かが汗をかいて売る
三者が幸せに事業継続するためにはそれなりの努力が必要です。
2025年度も糖商連は適正価格の浸透と、上昇経費部分をどのようにすれば吸収することができるか を組合員各社の啓発に努めてまいりたいと思っております。